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濾過布は何を濾過するかによって、素材選びが異なります。濾過布には剥離性の良さや目詰まりの少なさ、濾過速度などが求められます。最初は濾過速度が速くても、すぐに速度が落ちるのでは効率が良いとはいえません。
そこで濾過速度が安定して出る濾過布かどうかを見極める必要があります。濾過の精度を落とさず、安定したスピードで濾過できるかどうかで選びましょう。
濾過するものにより、濾過布の耐性や強度を選ばなければなりませんが、頻繁にメンテナンスしたり取り替えたりする必要がある濾過布では手間も費用も負担が大きくなってしまいます。
濾過布は消耗品とはいえ、適切なものを選びできるだけ長い寿命となるようにしましょう。特に注意すべき点は、破れるなどの破損と目詰まりです。どちらも修復は困難で交換となることがあるため、濾布を固定する強度や設計、温度管理や油分の付着などに注意しましょう。
濾過布は消耗品ですから、最大限に寿命を延ばしたとしても交換時期はやってきます。必ず行わなければならない作業ですので、交換時の取り外しやすさ、また取り付けやすさも重要なポイントです。
またクリーニングを行う際にも取り外し・取付けの作業が必要ですので、交換のしやすさはチェックしておきましょう。
濾過布の素材は費用だけでなく濾過するものに対する耐性や強度、通気度、濾過速度などにも関係してくるものです。また素材だけでなく、糸の形状や折り方まで濾過の性能に関わってきます。
濾過するものや量、温度などさまざまなことに留意して、最適な濾過布の素材選びをしましょう。濾過布の素材と糸の選択によって、メンテナンスが少なくて済み、安定した濾過ができるようになります。
フィルタープレスで使用される濾布の材質として、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルの3種類があります。
ポリプロピレンは比較的安価で耐食性があるため、一般的によく使用されます。ナイロンは強度がありますが酸に弱いという特性があり、ポリエステルは耐熱性がありますがアルカリに弱いという特性があります。
それぞれの特性を理解して、濾過するものによって最適なものを使いましょう。
濾布は糸を織って作られますが、その原糸の形状によっても濾布の性能が大きく変わります。
マルチフィラメントは名前の通り全体的にカバーでき、汎用性が高い濾布です。
モノフィラメントは単繊維なので糸が滑らかで、目詰まりしにくくケーキ剥離性も良いという特徴があります。しかし粒子細く能力が悪いデメリットも。
スパン糸は単繊維、紡績糸で糸自体に毛羽立ちがあります。そのため微粒子を捕集しやすい特徴がありますが、その分剥離性や目詰まり耐性が悪くなってしまいます。
濾過布は折り方によっても性能が異なります。
平織りは布目が詰まっているのが特徴で、高圧用の濾布によく使用されます。
綾織は、平織と朱子織の欠点をカバーできる特徴があり、汎用性が高い織り方です。地厚で高密度に仕上げることもできます。
朱子織は高密度に仕上げられる織り方で、集塵機によく利用されます。剥離性と目詰まり耐性は良いですが、粒子捕捉能力が悪くなります。
ろ材の表面に灰や消石灰などで濾過層を作り、濾過式集塵装置にすることをプレコートバグフィルターといいます。プレコートによって目詰まりを防止でき、また濾過布が傷みにくくなるメリットもあります。
さらにプレコートバグフィルターにより有害物質を除去できる効果や、フライアッシュによる破損や焼損防止にもなります。
濾過布にプレコートバグフィルターを行うことで、濾過効率が高まるだけでなく、濾過布の寿命を延ばしさまざまなリスク防止にもなります。
使用済みの濾過布は、産業廃棄物として扱われます。何を濾過したのかによって濾過布に付着している成分は違いますが、成分によっては特別な管理が必要です。
捨てる際にはまず分析や事前調査を行い、無害であれば産業廃棄物として処理します。
ダイオキシンなど有害な成分が付着している場合には、特別管理廃棄物に該当するため定められた処理方法に従って、慎重に処理する必要があります。
使用済みの濾過布は、いずれも産業廃棄物となります。使用している本人が排出業者となるため、管理責任も生じます。そのため何を濾過したのか分析や事前調査を適切に行い、結果に応じた適切な処理をしなければなりません。有害物質の場合には、特別管理廃棄物となり、より慎重な扱いが必要です。
産業廃棄物を委託して処理するには「産業廃棄物管理伝票」というマニフェストを作成する必要があります。マニフェスト交付に違反があれば厳しい罰則があるので注意しましょう。
濾過布は製造業において多く使われています。そのシチュエーションはさまざまですが、大きく分けると2つの工程があります。
1つは製品を製造する過程で使用される場合。製品が食品や化粧品など多岐にわたりますが、いずれにしても衛生的で安定的な精度を保つことが求められます。
2つ目は製造後の処理に使用される場合です。例えば排水の処理に濾過布を使用して有害物質などを除去することが目的となります。
日本酒の製造において、最終的に発酵させた醪(もろみ)を搾ることで酒と酒粕に分ける工程があります。いくつかの手法がありますが、濾過布を用いて醪を搾る方法は搾り時間が短く、空気に触れる時間が減って品質向上が見込めるメリットがあります。
また搾ったあとの排水処理にも濾布を使用し、余分な物質を排水にしないための用途としても活躍します。
ろ材に対して垂直方向に物質が堆積することを利用した濾過の方法をケークろ過といいます。ケークとはろ過によって溜まる物質のことで、ケークろ過では堆積層が溜まっていくため、ろ過能力が徐々に落ちていきます。
閉そくろ過には、完全閉そくろ過・標準閉そくろ過・中間閉そくろ過の3種類があります。細い管を液体につけると、液体が管の壁に引き寄せられて上昇する毛細管現象を利用したものが閉そくろ過で、布でも起こります。毛管に対して物質の方が大きいと完全閉そくろ過、毛管に対して物質の方が小さいと標準閉そくろ過、毛管の表面で物質を捉えるのが中間閉そくろ過となります。