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物質と液体を分離するためのろ過は、さまざまな方式があります。方式によって向き不向きがあるため、違いを把握して慎重に選ぶことが重要です。ここでは、ケークろ過と閉そくろ過の特徴や、方式の種類について解説しています。
ケークろ過は、ろ材に対して垂直方向に物質が堆積するろ過の方式をいいます。物質はろ材の表面に少しずつ堆積し、やがてケークという物質の堆積層をつくります。とてもシンプルなろ過方式で、表面ろ過とも呼ばれています。
ケークろ過は、時間とともにろ過能力が落ちてしまうデメリットがあります。始めは物質が少なく、液体もスムーズに流れていきます。しかし、ケークが形成されるにつれてろ過抵抗が大きくなり、効率が低下してしまいます。
閉そくろ過は、大きく分けて完全閉そく・標準閉そく・中間閉そくの3種類に分けられます。
完全閉そくろ過は、毛管に対して物質のほうが大きい場合、毛管の入り口で補足するろ過方式をいいます。毛管が物質を補足するため、毛管は完全に塞がれることを仮定しています。そのため、時間とともに塞がれていない毛管数が減少し、ろ過の効率が低下していきます。この点はケークろ過と同じく注意が必要です。
標準閉そくろ過は、毛管経に対して物質のほうが小さい場合、毛管の内壁で物質を捉えるろ過方式をいいます。完全閉そくろ過は入り口で物質を捉えますが、内部に蓄積させる点が異なります。物質を捉えると内部の面積が徐々に小さくなるため、時間とともに濾過効率が低下していきます。
中間閉そくろ過は、完全閉そくろ過と同じく、毛管の表面で物質を捉えるろ過の方式です。しかし、閉そく数は未閉そくの毛管数に比例すると仮定します。完全閉そくろ過は、毛管の閉そく率が常に同じと仮定しています。ろ過に伴って毛管数の減少も緩やかになることから、完全閉そくろ過よりリアルなシミュレーションが可能になります。
ろ過の方式は、他にも重圧ろ過・加圧ろ過・真空ろ過などの方式があります。
重圧ろ過は、液体と物質の比重差を利用するろ過方式です。遠心分離機で用いられています。加圧ろ過は圧力を加えてろ過する方式で、多段フィルターなどに使われています。真空ろ過は真空圧を利用したろ過方式で、ディスクフィルターやドラムフィルターで使用されています。